人を入れ替えても組織が変わらない理由
採用や配置転換を経て新しい人が入ったにもかかわらず、「結局、前と同じ問題が起きている」という感覚が残ることがあります。多くの組織は、次はもっと良い人を採ろうと、さらに"人側"に手を入れようとします。
しかし、人を入れ替えても変わらない組織には、人ではない原因が存在しています。
人は「構造の中」で同じ行動を取る
人が変わっても組織が変わらない理由は単純です。人は、与えられた構造の中で行動するからです。
判断基準が曖昧で、責任範囲が不明確で、原則と例外が整理されていない構造の中に入れば、どんな人であっても、同じところで迷い、同じ判断をし、同じ失敗を繰り返す可能性が高くなります。
人を替えても結果が変わらないのは、構造が結果を再生産しているからです。

重要なポイント
どんなに優秀な人材でも、壊れた構造の中では同じ行動パターンに陥ります。
人の問題に見える3つの構造的原因
判断基準が共有されていない
何を優先すべきか、どこまで許容されるかが言語化されていない場合、判断は個人の感覚に委ねられます。
その結果、人が変わっても判断の質が安定しないという状態が続きます。
責任の所在が曖昧
誰が最終判断者か分からず、失敗時の戻し方が決まっていない構造では、新しい人ほど慎重になります。
判断を先送りする、前例に寄せるという行動を取ります。
例外が前提になっている
原則が整理されていない組織では、毎回特別対応、状況次第で判断が変わることが常態化します。
経験が増えるほど、属人的な対応が再生産されるため、人を替えても結果は変わりません。
判断基準の曖昧さが生む悪循環
基準が不明確
何を優先すべきか分からない
個人判断に依存
感覚で判断せざるを得ない
結果が不安定
判断の質がバラつく
人を入れ替える
しかし構造は変わらない
この悪循環を断ち切るには、人ではなく構造に目を向ける必要があります。
人を替える前に確認すべき問い
人を入れ替える前に、次の問いに答えられるかを確認します。これらに答えられない場合、人を替える判断は問題の先送りになる可能性が高いと言えます。
1
この判断は、誰がやっても迷わないか
判断基準が明確で、誰が担当しても同じ結論に至る設計になっているかを確認します。
2
判断基準と優先順位は明示されているか
何を優先すべきか、どこまで許容されるかが文書化され、共有されているかを確認します。
3
失敗したとき、どこに戻せる設計か
問題が発生した際の責任の所在と、修正プロセスが明確になっているかを確認します。
人を替えるべきケースも存在する
戻れる経営は、すべてを構造の問題に帰着させません。明確な基準を理解したうえでの不履行、意図的なルール逸脱、責任放棄といった場合は、人の問題として扱う判断が必要です。
重要なのは、先に構造を疑ったかどうかです。構造を整えた上で、それでも改善が見られない場合に初めて、人の問題として対処することが適切です。
まず構造を疑う
構造を整える
それでも変わらなければ人の問題
よくある誤解
誤解①:良い人を採れば変わる
良い人ほど、壊れた構造の中では疲弊します。結果として、早く辞める、または同じ行動に引きずられるという結末になりがちです。
優秀な人材は構造の問題をより早く認識し、改善できない環境に失望して離れていきます。
誤解②:教育が足りないだけ
教育で補えるのは、知識とスキルまでです。判断基準や責任構造は、教育ではなく設計の問題です。
どれだけ研修を重ねても、組織の構造的な問題は解決しません。
構造と人の問題を見分ける
構造の問題
  • 複数の人が同じ失敗をする
  • 判断基準が曖昧
  • 責任範囲が不明確
  • 例外対応が常態化
  • 前例踏襲が多い
これらは組織設計で解決すべき問題です。
人の問題
  • 基準を理解した上での不履行
  • 意図的なルール逸脱
  • 責任放棄
  • 改善意欲の欠如
  • コミュニケーション拒否
これらは個人の問題として対処が必要です。
この判断で、最後に確認したい問い
01
人が変わっても同じ問題が起きていないか
過去の事例を振り返り、パターンを確認します。
02
その問題は、構造として説明できるか
判断基準、責任範囲、原則の整理状況を確認します。
03
人を替えずに直せる部分はないか
組織設計の改善余地を探ります。
これらに答えられない場合、組織はすでに、人ではなく構造で動いている可能性があります。
まとめ
人を替えても組織は変わらないことがある
同じ問題が繰り返される場合、人ではなく構造に原因があります。
その原因は、人ではなく構造にある
判断基準、責任範囲、原則の整理が不十分な場合、誰が担当しても同じ結果になります。
人の入れ替えは、最後の判断
構造を整えた上で、それでも改善が見られない場合に初めて検討すべきです。

組織を変えたいなら、人を見る前に構造を見直せているか。それが、この判断の核心です。