利用されない仕組みが残り続ける組織の問題
多くの組織には、誰も積極的には使っていない、形だけ残っている仕組みが存在します。廃止しようとすると空気が重くなる。そんな経験はありませんか。
問題の本質
「使われていない」と分かっているのに、なぜ残るのか
ツール、制度、ルール、フロー。種類は違っても、共通しているのは、「利用されていないこと」は認識されているのに、なくならないという点です。
このコンテンツでは、なぜ利用されない仕組みが残り続けるのか、それが組織にとって何を意味しているのかを、経営判断レイヤー(Why)と専門実装レイヤー(How)に分けて整理します。
共通する特徴
  • 誰も積極的には使っていない
  • 形だけ残っている
  • 廃止しようとすると空気が重くなる
経営判断レイヤー
問題は「使われていないこと」ではない
本質的な問題
なぜ使われなくなったのか、それでもなぜ残っているのかが、誰にも検証されていないことにあります。
判断の放置
仕組みではなく、判断が放置されている状態です。利用されていないこと自体が、最大の問題ではありません。
仕組みが「過去の判断の痕跡」になる
利用されない仕組みの多くは、当時は合理的だった、何かの問題を解決するために作られたものです。しかし時間が経つにつれ、前提条件が変わる、業務内容が変わる、人が入れ替わることで、役割を失っていきます。
1
導入時
合理的な判断で作られた仕組み
2
時間経過
前提条件や業務内容が変化
3
現在
役割を失うも残り続ける
仕組みを廃止することが、当時の判断を否定する行為に見えてしまうからです。
廃止できないのは「責任」が曖昧だから
多くの仕組みは、誰が決めたのか、誰が責任を持つのかが、はっきりしないまま残ります。その結果、廃止を提案する人がいない、廃止して問題が起きたときの責任を取りたくないという空気が生まれます。
これは、仕組みの問題ではなく、判断責任の不在です。

重要なポイント
責任の所在が不明確なまま、仕組みだけが残り続ける構造が問題の核心です。
専門実装レイヤー
利用されない仕組みが温存される構造
「念のため」が正式ルールに
念のため残しておこうという理由が、明文化され、ルール化されます。
例外対応が制度に昇格
一度きりの例外対応が、再発防止という名目で制度化されます。
評価に影響しない
仕組みを作ったことは評価されても、廃止したことは評価されません。
「念のため」が正式ルールになる逆転現象
最初は、念のため残しておこう、一部のケースでは使うかもしれないという理由だったものが、明文化され、ルール化され、正式な仕組みになります。
初期段階
「念のため」という暫定的な判断
制度化
明文化され正式なルールに昇格
逆転現象
使われない仕組みが、使わなければならない仕組みに変わる
残り続ける仕組みを見直すための問い
仕組みを整理するときは、次の問いから始めてください。ここで重要なのは、「誰かが困る気がする」ではなく、「誰が、どう困るか」を言語化できるかです。
1
存在理由の確認
この仕組みは、どの判断のために存在しているか
2
現在の重要性
その判断は、今も重要か
3
影響範囲の特定
この仕組みがなくなったら、誰が困るのか
よくある誤解
誤解①:怠慢の結果
使われない仕組みは怠慢の結果ではありません。判断を回収しないまま、時間が経った結果です。
誤解②:守るべき対象
守るべきなのは、仕組みそのものではなく、判断の合理性です。
まとめ:判断を終わらせられない組織
判断の痕跡
利用されない仕組みは、判断の痕跡である
問題の本質
問題は仕組みではなく、判断が回収されていないこと
責任の曖昧さ
廃止できないのは責任が曖昧だから
高度な判断
仕組みは作るより、見直す方が高度な判断
利用されない仕組みが残り続ける組織とは、変化できない組織ではなく、判断を終わらせられない組織です。それが、このテーマの核心です。