ツール・システムに関する判断パターン
組織でツールやシステムの話が出始めると、「このツールが合っていない」「使われていない」「現場が混乱している」といった言葉が並びます。一見すると、ツール選定やITの問題に見えますが、実際には判断の問題です。
ツールは問題の原因ではない
「戻れる経営」の視点では、ツールは問題の原因ではなく、判断の結果として現れていると捉えます。このカテゴリでは、ツール・システムに関する判断を「導入する/しない」という二択ではなく、どの段階で、何を前提に使うかという構造の問題として整理します。
ツール判断を正しく行うためには、その前提となる判断構造を理解することが不可欠です。表面的な問題解決ではなく、根本的な判断の質を高めることが重要になります。
判断の結果
ツールは選択の結果として現れる
構造の問題
どの段階で何を前提に使うか
なぜツール判断は失敗しやすいのか
ツール判断が失敗しやすい理由は明確です。導入すると「何か進んだ感」が出て、現場対応をしたように見え、判断を先送りできるからです。
1
原則がないまま導入
判断基準が不明確なまま進める
2
例外を吸収し続ける
特殊ケースへの対応が増殖する
3
誰も説明できない
全体像を把握できる人がいなくなる
ツールは、判断をしなくても前に進んだ気になれる装置として使われやすい
ツール判断の本質的な問いかけ
その判断は、ツールがなくても説明できるか
このカテゴリで扱う判断は、すべてこの問いに集約されます。ツールは判断を代替するものではなく、判断を支える部品であるはずです。
この前提が崩れた瞬間、ツールは問題を解決せず、問題を固定化する存在になります。判断の質を高めることが、ツール活用の前提条件となります。
判断パターンA:導入のタイミング
ツールを入れてから考えるか、考えてからツールを入れるか
「とりあえず入れる」の錯覚
導入したことで判断した気になりますが、実際には問題の正体は何も整理されていません。
正しいアプローチ
ツールは最後に置くべき選択肢です。まず判断の構造を明確にし、その後でツールを選定します。
判断パターンB:例外への対応
例外をツールで吸収するか、原則を更新するか
例外対応を技術で覆い続けると、設定が増え続け、原則が更新されず、誰も全体を把握できなくなります。これはツールの限界ではなく、判断の放棄です。
1
初期段階
例外が発生し始める
2
対症療法
ツールで個別対応を重ねる
3
複雑化
設定が肥大化する
4
崩壊
誰も全体を理解できない

例外が増えたら、原則を見直すタイミングです。ツールで覆い隠すのではなく、判断の前提を更新しましょう。
判断パターンC:可視化と責任
ツールで可視化するか、責任を明確にするか
見えるのに決まらない理由
  • ステータスは見える
  • 履歴も残っている
  • しかし誰が責任を負うか分からない
可視化は、責任設計とセットで初めて意味を持ちます。データが見えることと、判断できることは別の問題です。
可視化
情報を見える化する
責任設計
誰が判断するか明確にする
実行
判断を行動に移す
判断パターンD:撤退の判断
使われないツールを捨てるか、前提を見直すか
使われていないのにやめられない理由は、ツールそのものではありません。前提が壊れていることを認められないことが本質的な問題です。
1
現状認識
ツールが使われていない事実を受け入れる
2
原因分析
なぜ使われないのか、前提を検証する
3
判断
撤退するか、前提を更新するか決める
捨てられないツールは、判断が固定化しているサインです
このカテゴリの読み方
提供しないもの
ツール比較、おすすめSaaS、導入ノウハウなどの表面的な情報は扱いません。
提供するもの
ツール判断が、どこで後戻り不能になるかを明らかにします。判断の構造を理解することが目的です。
前提
ツールは便利ですが、判断を肩代わりしてくれる存在ではないという前提を持って読んでください。
まとめ
01
ツールは判断の結果である
問題の原因ではなく、判断の結果として現れる
02
判断を飛ばした導入は問題を固定する
前提なき導入は、問題解決ではなく問題の固定化
03
ツール問題の正体は設計問題
技術の問題ではなく、判断設計の問題
ツールを疑う前に、その前提となる判断を疑えているか。それが、ツール・システムに関する判断パターンの出発点です。