例外対応が積み上がったときのリスク管理
原則を決めきれないまま、現場対応を優先して例外を積み上げてきた組織では、ある時点で重大な違和感が表面化します。
何が起きているのか
原則を決めきれないまま、現場対応を優先して例外を積み上げてきた組織では、ある時点で次の違和感が表面化します。
境界の喪失
何が通常で、何が例外か分からない状態になります。
判断の停滞
判断のたびに過去事例を探している状況が続きます。
全体像の欠如
誰も全体像を説明できない組織になっています。

これは偶発的な混乱ではありません。例外対応を「管理対象」として扱わなかった結果です。
リスクは「失敗」ではなく「未整理」から生まれる
多くの経営者は、リスクを「問題が起きた状態」と捉えがちです。しかし、戻れる経営の視点では、リスクの正体は別のところにあります。
リスクとは、判断が整理されず、説明できない状態そのもの
例外が積み上がると、なぜその判断をしたのか、どの原則を逸脱したのか、どこまで許容しているのかが分からなくなります。
この状態では、問題が起きたときに初めてリスクとして認識されるため、対応が後手に回ります。
例外対応がリスクに変わる3つの局面
01
説明責任を果たせなくなる
例外が増えるほど、社内に対して、顧客・取引先に対して判断理由を説明することが難しくなります。説明できない判断は、その時点でリスクです。
02
判断の一貫性が崩れる
原則に照らして整理されていない例外は、人によって解釈が変わる、時期によって判断が変わる状態を生みます。これは、公平性・信頼性の低下につながります。
03
責任の所在が曖昧になる
例外が積み重なると、誰が判断したのか、誰が責任を負うのかが分からなくなります。組織内で責任を意識できない状態は、重大なリスクです。
例外対応を「管理」するという発想
例外対応のリスク管理とは、例外を減らすことではありません。重要なのは、例外を判断として整理することです。
そのために必要なのは、次の3点です。
例外管理の3つの実装ポイント
1
例外を記録する
  • いつ
  • どの原則に対する例外か
  • なぜ許容したのか
を必ず残します。
2
原則との関係を明示する
例外は、原則を否定したのか、原則の適用範囲外だったのかを区別して整理します。これにより、原則を更新すべきかどうかが判断できます。
3
見直しのトリガーを決める
一定件数を超えた、特定の条件で頻発している場合は、原則を再定義する判断に移行します。
リスク管理を誤ると起きること
例外対応を放置したままにすると、次のような状態が組織全体に広がります。
  • 例外が前提になる
  • 原則が形骸化する
  • 判断が感覚論になる
結果として、組織全体が不安定になるというリスクが顕在化します。
よくある誤解
誤解①:例外管理は細かすぎる
例外管理は、統制強化のためではありません。判断を説明可能にするための最低限の整理です。
誤解②:例外が多いのは現場が悪い
例外が多いのは、原則を決めなかった経営判断の結果です。
最後に確認したい問い
この判断で、最後に確認したい問いがあります。これらに答えられない場合、例外対応はすでにリスク管理の対象になっています。
この例外は、どの原則に対するものか
なぜ今も例外のままなのか
原則を更新する判断は誰が担うのか
まとめ
例外は放置するとリスクに変わる
リスクの正体は「未整理の判断」
管理すべきは例外の数ではなく意味
例外対応を判断として扱えているか
それが、この判断の核心です。