戻れる経営
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重要ポジションを固定するか、仮置きにするか
事業が一定程度回り始めると、経営者は次の状態に入ります。現場判断が増え、自分がいないと止まり、「誰かに任せたい」という感覚が強くなります。
このとき、ほぼ例外なく現れるのが、重要ポジションを固定すべきか、それとも一時的に仮置きすべきかという判断です。この判断は、単なる採用判断ではありません。
組織の可逆性を残すかどうか
を決める、最初の分岐点です。
固定した瞬間に、何が起きるのか
重要ポジションを「固定する」とは、正社員を採用することや、役職を正式に置くことを指します。この瞬間に固定されるのは、人件費だけではありません。
固定されるもの
そのポジションの役割解釈
判断の責任帰属
失敗時の説明構造
一度固定すると、判断の修正は人事の問題になり、業務改善は個人評価にすり替わり、「なかったこと」にできなくなります。つまり、
判断そのものが後戻り不能になります。
仮置きという選択が意味するもの
期間限定
明確な期間を設定し、その範囲内で役割を試験的に運用します。
責任範囲限定
決定できる範囲を明確にし、組織への影響を制御します。
検証前提
実験として扱い、学びを得ることを目的とします。
仮置きは、覚悟が足りない判断ではありません。
判断を実験として扱うための設計
です。
仮置きにすると、業務の実態、判断頻度、人で解決すべきかどうかを観測できます。
固定と仮置きの違いを構造で比べる
固定した場合
人・役職・契約が同時に固まる
判断の修正が困難になる
失敗が個人問題として扱われる
仮置きした場合
業務だけが先に露出する
判断構造を切り出せる
採用・役職の是非を後から決められる
違いは、スピードやコストではありません。
戻れるかどうか
です。
仮置きで最低限決めるべきこと
01
期間
例:3か月または6か月という明確な期間を設定します。
02
責任範囲
何を決めてよいか、権限の境界を明確にします。
03
観測ポイント
成果ではなく判断内容を観測します。
04
終了時の分岐
続ける、戻す、再設計の選択肢を用意します。
ここで重要なのは、
評価ではなく観測
です。仮置きは実験であり、学びを得るためのプロセスです。
よくある失敗パターン
失敗1
仮置きなのに、最初から正社員前提で進めてしまう。
失敗2
仮置き期間中に期待値を盛りすぎて、実験の意味を失う。
失敗3
期間終了後、何も振り返らずに次のステップに進む。
これらはすべて、仮置きを「採用前提の試用期間」にしてしまったケースです。それでは、可逆性は回復しません。
固定すべきタイミングはいつか
仮置きを経たあとであれば、固定の意味は変わります。この状態での固定は、覚悟ではなく、
構造に基づく判断
になります。
業務が言語化されている
役割と責任が明確に定義されています。
判断構造が見えている
どのような判断が必要か理解されています。
戻し方を理解している
必要に応じて変更できる設計になっています。
この判断で確認したい問い
今、このポジションは固定しないと致命的か?
人を置かずに、業務だけ観測できないか?
判断を誤ったとき、どこまで戻れる設計か?
これらに即答できないなら、
仮置きという選択肢は残っています。
焦って固定する必要はありません。判断の可逆性を保つことが、長期的な組織の健全性につながります。
可逆性のある組織設計
可逆性とは何か
可逆性とは、判断を後から見直し、修正できる状態を保つことです。組織において可逆性を保つことは、変化に対応し、学習し続けるための基盤となります。
固定と仮置きの選択は、この可逆性をどこまで残すかという判断です。すべてを固定する必要はなく、実験的に進められる部分は仮置きで始めることができます。
まとめ:正解は出さない
固定
判断を一気に不可逆にする
仮置き
判断を実験に戻す
重要なのは、どちらが正しいかではありません。
その判断は、後から考え直せる形になっているか
という問いです。
判断パターン1は、この問いを最初に突きつけるためのものです。組織の可逆性を意識することで、より柔軟で強靭な組織を構築することができます。