個人依存を生む組織と、生まない組織の分岐点
組織が成長してくると、必ず一度はこんな状態に陥ります。特定の人が休むと仕事が止まる。その人の判断待ちで全体が滞留する。周囲が「聞かないと分からない」状態になる。
「なぜ、あの人がいないと回らないのか」
仕事が止まる
特定の人が休むと業務が完全にストップしてしまう状態
判断待ちの滞留
その人の判断を待つことで全体の進行が遅れる
情報の集中
周囲が「聞かないと分からない」という依存状態に陥る
このとき、問題はしばしば「属人化している」という言葉で片付けられます。しかし本当に問うべきなのは、なぜ、その人に依存する構造を選んだのかという点です。
個人依存は「人の問題」ではなく「組織設計の結果」
よくある誤解
  • あの人が優秀すぎる
  • 周りが育っていない
  • 能力差の問題だ
本質的な原因
個人依存は能力差の問題ではありません。個人依存は、組織設計の選択の結果です。
  • 判断を一人に集めた
  • 境界線を引かなかった
  • 構造を作らずに任せた
その積み重ねが、「その人がいないと回らない組織」を作ります。戻れる経営の視点では、個人依存は能力差の問題ではなく、組織設計の選択の結果なのです。
分岐点①:判断が「人」に紐づいているか
個人依存を生む構造
誰が決めるかが先にある。何をどう判断するかが後回し。
判断の集中
この順序で組織を作ると、判断は自然に個人に集中します。

重要なポイント: 個人依存を生む最大の分岐点は、判断が業務ではなく、人に紐づいている状態です。
分岐点②:失敗の扱い方が決まっているか
個人依存が強い組織
個人の責任
失敗が個人の責任になる
評価の問題
評価の問題にすり替わる
この状態では、誰も判断を共有しようとしません。
個人依存を生まない組織
失敗は、構造の検証材料として扱われます。
分岐点③:役割が「包括的」か「限定的」か
1
包括的な役割定義
「何でもやる」「全般を任せる」と定義すると、業務は自然に属人化します。
2
限定的な役割定義
責任範囲が限定され、判断範囲が明示され、戻す条件が決まっている場合、個人に依存しにくくなります。
役割の定義方法が、個人依存を生むか生まないかの重要な分岐点となります。明確な境界線と条件設定が、組織の健全性を保ちます。
個人依存を生まないための設計視点
01
判断単位で業務を定義する
作業ではなく「判断」を基準に切り分ける
02
責任範囲を先に決める
権限ではなく説明責任の範囲を明示する
03
戻し方を前提に設計する
うまくいかなかった場合の修正経路を用意する
人が変わっても回る
属人化を防ぐ
判断が共有される
透明性の確保
学習が組織に残る
ナレッジの蓄積
個人依存を「許容すべき」ケース
戻れる経営は、すべての個人依存を否定しません。意図的に個人依存を選ぶ判断もあり得ます。
創業初期
スピードと柔軟性が最優先される段階では、個人依存が効率的な場合があります。
実験フェーズ
新しい取り組みを試す段階では、構造化よりも試行錯誤が重要です。
一時的な特殊案件
限定的な期間や範囲での特殊対応が必要な場合もあります。

重要なのは: それが一時的か、構造として固定されているかです。
この判断で、最後に確認したい問い
判断は人に紐づいていないか
業務プロセスとして判断基準が明確になっているかを確認します。
失敗を構造として扱えているか
個人の責任ではなく、組織の学習機会として捉えられているかを問います。
その人が抜けた場合、何が止まるか説明できるか
依存関係を可視化し、リスクを認識できているかを確認します。
これらに答えられない場合、個人依存を生む側の分岐点を選んでいる可能性があります。
まとめ:個人依存を生むかどうかは、組織の作り方で決まる
能力の問題ではない
個人依存は能力差の問題ではありません。
組織設計の選択
組織設計の選択が、依存を生みます。
問うべきは構造
問うべきは「誰か」ではなく「構造」です。
個人依存を生むかどうかは、組織の作り方で決まる。それが、この判断の核心です。