混乱から学べる組織だけが成長する理由
新しい取り組みや仕組みの変更により、組織には必ず「想定外」が発生します。この混乱をどう扱うかで、組織の成長が決まります。
この判断が問題になる場面
新しい取り組みを始めたとき、進め方や仕組みを変えたとき、組織には必ず「想定外」が発生します。
現場の反応
不満や違和感が出る
想定外の事態
手戻りが起きる
判断の曖昧さ
誰が判断すべきか分からない場面が増える
この状態を前にして、判断は二つに分かれます。混乱を抑え込み元の状態に戻そうとするか、混乱を情報として扱い何が起きているかを見ようとするか。ここで分かれるのは、成長するかどうかではなく、学習が起きる構造を持っているかどうかです。
混乱が成長につながらない組織
混乱が起きた瞬間に「失敗」と判断される組織では、次の反応が起きやすくなります。
  • 早く元に戻すことが最優先になる
  • 原因よりも責任の所在が探される
  • 混乱を起こした行動が萎縮を生む
この結果、混乱の背景が整理されず、何がズレていたのかが残りません。混乱は収束しますが、組織の判断力は更新されないのです。
混乱を学習に変えられる組織
一方で、混乱が起きても成長が止まらない組織もあります。そこでは、次の扱いがされていることが多いです。
観測結果として扱う
混乱は「異常」ではなく「観測結果」として扱われる
構造として切り出す
うまくいかなかった点が構造として切り出される
設計の問題として整理
個人の問題ではなく、前提や設計の問題として整理される
このとき、混乱は次の判断に必要な材料として組織に残ります。
なぜ「混乱=情報」にならないのか
多くの組織で混乱が学習に変わらない理由は、混乱そのものではありません。次の構造があると、混乱は扱えなくなります。
評価との直結
混乱が評価や責任と直結している
立場の弱体化
失敗を認めると立場が弱くなる
否定としての扱い
修正や撤回が否定として扱われる

この状態では、混乱を出すこと自体がリスクになるため、情報は表に出てこなくなります。
成長する組織が前提にしていること
混乱から学べる組織は、混乱を歓迎しているわけではありません。前提にしているのは、次の点です。
01
判断は仮置きである
02
想定と違うことは必ず起きる
03
混乱は設計や前提を検証するために発生する
そのため、混乱が起きても判断は更新でき、更新は失敗ではなく、前提修正として扱われます。
混乱が成長を止める境界線
混乱が学習になるか、成長を止めるかは、次の条件で分かれます。
記録・言語化
混乱を記録・言語化する回路があるか
修正の主体
判断を修正する主体が明確か
選択肢の確保
「戻す」選択肢が最初から排除されていないか
これらが欠けると、混乱は学習ではなく、消耗や停滞につながります。
学習する組織と停滞する組織の違い
学習する組織
  • 混乱を観測結果として扱う
  • 構造的な問題として整理する
  • 判断の更新が前提修正として認識される
  • 情報が安全に共有される
停滞する組織
  • 混乱を失敗として判断する
  • 責任の所在を探す
  • 元に戻すことを最優先する
  • 情報が隠蔽される
この判断を考え直すための問い
組織が混乱から学習できているかを確認するために、次の問いを考えてみましょう。
1
想定との違い
今回の混乱は、何が想定と違ったことを示しているか
2
問題の所在
その違いは、個人の問題か、前提や設計の問題か
3
学習の蓄積
混乱から、次の判断に何を残せているか
4
安全な構造
混乱を出しても安全な構造になっているか
これらに答えられない場合、問題は混乱そのものではなく、混乱を学習に変える仕組みが存在しないことにある可能性が高いです。
混乱を成長の機会に変えるために
組織が持続的に成長するためには、混乱を恐れるのではなく、学習の機会として活用する文化と仕組みが必要です。
前提を明確にする
判断は仮置きであることを組織全体で共有する
安全な環境を作る
混乱を出しても評価に影響しない構造を整える
学習の回路を設計する
混乱を記録・言語化し、次の判断に活かす仕組みを作る
混乱は避けられないものです。しかし、それを学習に変えられるかどうかは、組織の選択次第です。