解約を恐れるか、事実を見るか
ツールや外部サービスの見直しをするとき、多くの組織で最初に浮かぶのは「解約して本当に大丈夫だろうか」という不安です。この不安自体は間違っていませんが、この問いが先に立つと、事実を見る前に解約しない理由を探し始めるという状態に入ります。
経営判断レイヤー
解約を恐れる正体は「損失」ではない
もったいない
せっかくお金を払ったのにもったいないという感情
手間がかかる
入れ替えの手間がかかるという懸念
何かあったら
何かあったときに困るという不安
一見すると、すべて合理的に見えます。しかし実際には、解約そのものが怖いのではなく、解約を決めた判断が間違っていたと思われることが怖いというケースがほとんどです。恐れているのは経済的損失よりも、判断の失敗を認めることです。
「続ける」ことは、何も決めない選択
解約を見送ることは現状維持に見えます。しかし経営判断として見ると、「続ける」という選択も明確な意思決定です。
その判断が、利用実態、効果、必要性を確認しないまま行われているなら、それは恐れによる判断になっています。
0%
確認なし
事実確認せずに継続
事実を見るとは「成功・失敗」を決めることではない
「事実を見る」というと、成功か失敗かを決めることだと誤解されがちです。しかし本来は、今、何が起きているかを確認するだけです。
01
使われているのか
実際の利用状況を確認します
02
どの判断に使われているのか
具体的な用途を特定します
03
代替手段は存在するのか
他の選択肢を検討します
これらを整理すること自体は、解約を決める行為ではありません。
専門実装レイヤー
解約を恐れず、事実を見るための進め方
まず「利用実態」を切り出す
最初にやるべきは、解約するかどうかではなく、実際に何に使われているかを整理することです。どの業務で、誰が、どの判断のために使っているのか。これが言語化できない場合、すでに判断材料は揃っています。
「困る可能性」を分解する
次に、解約したら困るという感覚を分解します。誰が困るのか、何が止まるのか、どれくらいの頻度で起きるのか。ここで多くの場合、実際には滅多に起きない、別手段で代替できることが分かります。
小さく止めてみる
いきなり解約する必要はありません。一部部署で使うのをやめる、一定期間ログインを止める、手作業で代替してみる。こうした小さな停止=実験によって、事実を確認できます。
解約判断ができない組織で起きていること
使われていない仕組みが増える
放置されたツールやサービスが蓄積されていきます
判断が先送りされ続ける
決断を避けることで問題が長期化します
コストより判断力が削られる
金銭的損失以上に、組織の判断能力が低下します
これは、ツールの問題ではなく、判断を終わらせられない構造です。
よくある誤解
誤解①
解約=失敗
失敗ではありません。事実を踏まえた、判断の更新です。
誤解②
解約は強い決断が必要
必要なのは勇気ではなく、確認です。
最後に確認したい問い
判断を先に進める前に、次を自問してください。
1
解約を恐れている理由は、事実か感情か
恐れの根源を見極めます
2
今、何が起きているかを説明できるか
現状を言語化できるか確認します
3
続ける判断に、根拠はあるか
継続の理由を明確にします

これらに答えられない場合、恐れが判断を代替している可能性があります。
まとめ
恐れの正体
解約を恐れる正体は「判断の否定」への恐れです
継続も決断
続けることも、立派な意思決定です
事実確認
事実を見ることは、解約を決めることではありません
小さな実験
小さく止めて、事実を確認すればよいのです
解約を恐れるか、事実を見るか
この分岐は、ツールの話ではなく、経営判断の姿勢そのものを問う判断パターンです。
恐れではなく事実に基づいた判断を行うことで、組織の判断力は確実に向上していきます。解約という選択肢を恐れず、まずは現状を正確に把握することから始めましょう。