属人業務をシステムに露出させた瞬間に起きること
属人業務をシステムに載せた瞬間、多くの組織で混乱が起きます。しかし、この混乱は失敗ではありません。これまで隠れていた現実が表に出ただけです。
「見える化したら、逆に混乱した」という違和感
想像より複雑だった
業務の実態が予想以上に複雑であることが判明します。
余計な仕事が増えた
システム化により、新たな作業が発生したように感じられます。
現場が反発し始めた
担当者から抵抗や違和感の声が上がり始めます。
このとき、「やっぱり属人化のままでよかったのでは」という声が出ることも少なくありません。しかし、この混乱は失敗ではありません。属人業務を露出させたことで、これまで隠れていた現実が表に出ただけです。
属人業務は「うまく回っているように見える」だけ
表面的な安定
  • 決まった人が処理してくれる
  • トラブルが表に出にくい
  • 経営は深く関与しなくて済む
属人業務が問題視されにくい理由は明確です。しかしこれは、問題が存在しないのではなく、問題が個人の中に吸収されている状態です。
システムに露出させると、その「吸収されていた問題」が一気に表面化します。
露出させた瞬間に起きる3つの現象
01
判断ポイントが異常に多い
暗黙の判断や経験則による微調整が大量に含まれていることが分かります。
02
例外処理だらけである
「ケースバイケース」「状況次第で変わる」という説明が頻発します。
03
担当者が違和感を示す
自分の価値が奪われる感覚や、判断を監視されている感覚を覚えます。
① 判断ポイントが異常に多いことが分かる
属人業務を分解すると、暗黙の判断や経験則による微調整が大量に含まれていることが分かります。
これは、業務が単純ではなかったという事実の露呈です。
システム化の過程で、これまで見えなかった複雑性が明らかになります。
② 例外処理だらけであることが明らかになる
「ケースバイケース」の多発
システムに載せようとすると、状況依存の判断が多数存在することが判明します。
原則ではなく例外で回っていた
業務が標準化されておらず、個別対応の積み重ねで成り立っていたことが分かります。
これは、業務が原則ではなく例外で回っていたことを意味します。
③ 属人化していた本人が違和感を示す
「自分の価値が奪われる感覚がする」
「判断を監視されているようで不快だ」
属人業務を担っていた本人は、自分の価値が奪われる感覚や、判断を監視されている感覚を覚えることがあります。これは自然な反応です。

問題は感情ではなく、その感情をどう設計に落とすかにあります。
露出フェーズでやるべきこと
属人業務を露出させた直後にやるべきことは、完璧なシステム化ではありません。次の3点に集中します。
判断ポイントを書き出す
すべての判断箇所を可視化し、リスト化します。
例外条件を分類する
例外パターンを整理し、カテゴリー分けを行います。
人の判断が必要な部分を特定
本当に人間の判断が必要な箇所を明確にします。
これにより、属人化すべき部分と、露出・構造化すべき部分が分かれます。
混乱を「失敗」と誤解しない
よくある誤解
属人業務はそのままが安全
短期的には安全に見えますが、代替不能・検証不能・改善不能というリスクを内包します。
露出すればすぐ効率化できる
露出は効率化の前段階です。順序を誤ると必ず失敗します。
正しい理解
多くの組織は、露出直後の混乱を見て「やり方が間違っていた」と判断してしまいます。
しかし実際には、初めて現実を正しく見た状態になっただけです。
混乱は、改善の前提条件です。
この判断で、最後に確認したい問い
混乱を失敗と誤認していないか
露出した混乱を、失敗だと誤認していないか確認しましょう。
問題を個人に押し戻していないか
問題の本質を個人に押し戻していないか見直しましょう。
どこまで構造化すべきか
この業務は、どこまで構造化すべきか考えましょう。

まとめ
  • 属人業務の露出は、問題を作るのではなく見せる
  • 混乱は、現実把握のサイン
  • 属人化を選ぶかどうかは、その後に決めればよい
属人業務を露出させた瞬間は、組織が初めて現実と向き合った瞬間
それが、この判断の核心です。