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承認フローを増やす前に、システムで判断履歴を残す
組織が成長するにつれて、判断の透明性が失われていきます。その解決策として承認フローを増やすことは、本当に正しいのでしょうか。
「誰が決めたのか分からない」状態が生まれる瞬間
なぜこの判断になったのか分からない
判断の根拠や経緯が記録されておらず、後から理由を説明できない状態です。
誰が決めたのか説明できない
複数の承認者がいても、最終的な責任者が不明確になっています。
失敗しても振り返れない
判断の記録がないため、失敗から学ぶことができません。
この違和感に対して、多くの組織が取る対応は「承認をもう一段階増やそう」というものです。しかしそれは、
問題の解決ではなく上書き
にすぎません。
承認が増える理由は「判断が残っていない」から
共通する不安
判断の根拠が見えない
説明責任を果たせない
後から検証できない
つまり、
判断そのものが組織に残っていない
状態です。
承認を増やした結果
決める人数は増えるが
判断の質は上がらず
責任はさらに曖昧になる
という逆効果が生まれます。
承認の代わりに必要なのは「履歴」
本来、承認が担う役割は次の2つです。
判断の妥当性を担保する
決定内容が適切かどうかを確認する役割です。
誰がどう考えたかを残す
判断のプロセスと理由を記録する役割です。
このうち、
後者は承認でなくても実現できます。
判断履歴をシステム上に残す
という選択です。
判断履歴として残すべき要素
判断履歴を残す際に重要なのは、結論そのものではありません。最低限、次の点が記録されている必要があります。
01
判断した人
誰が責任を持って決定したのか
02
判断した日時
いつその決定が行われたのか
03
判断の前提条件
どのような状況下での判断だったのか
04
判断理由
なぜそうしたのか
05
想定していたリスク
どのようなリスクを認識していたか
これが残っていれば、後から検証でき、修正も可能で、同じ失敗を防げます。
システムは「統制」ではなく「可逆性」のために使う
判断履歴を残すシステムは、管理や監視のためのものではありません。目的は一つです。
判断を後から考え直せる状態を作ること
履歴が残っていれば、次のことが可能になります。
判断を上書きできる
状況が変わった時に、柔軟に対応できます。
判断者を責めずに済む
個人ではなく、プロセスの改善に焦点を当てられます。
構造の問題として議論できる
システム全体の改善につながる対話が生まれます。
承認に頼らずとも、組織は安全に前に進めます。
承認を増やした場合に起きること
判断履歴がないまま承認を増やすと、次の現象が起きやすくなります。
全員が「確認しただけ」になる
誰も実質的な判断をしていない状態です。
判断理由が誰にも分からない
なぜその決定に至ったのか、説明できません。
責任が拡散し、誰も学ばない
失敗から組織として学ぶ機会を失います。
これは、
判断を止めるための承認
になっている状態です。
よくある誤解
誤解①:履歴を残すと現場が萎縮する
萎縮の原因は、記録そのものではありません。
後出し評価
人格否定
です。
履歴があることで、
判断を人ではなく構造として扱える
ようになります。
誤解②:履歴管理は大企業向けの話
小さな組織ほど、判断履歴は重要です。
判断の蓄積が資産になる
属人化を防げる
という効果が大きいからです。
この判断で、最後に確認したい問い
承認フローを増やす前に、次の3つの問いに答えてみてください。
1
承認は本当に必要か、それとも履歴が必要か
本質的に求めているものは何でしょうか。
2
判断理由を第三者に説明できるか
透明性のある意思決定ができていますか。
3
判断を後から修正できる状態か
柔軟に対応できる仕組みがありますか。
これらに答えられない場合、
承認を増やす前に、履歴を残す設計
を検討する余地があります。
組織を守るのは、承認の数ではなく判断の履歴
承認は判断を残すための手段ではない
承認と記録は別の機能です。混同しないようにしましょう。
判断履歴は、可逆性を担保する
後から見直し、修正できる状態を作ることが重要です。
承認を増やす前に、判断を残す
まずは判断のプロセスを可視化することから始めましょう。
組織を守るのは、承認の数ではなく判断の履歴
それが、この判断の核心です。